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密鬼は、身を起こして。
「旦那様。俺、御義父様や御義母様と仲良くなりたいですっ」
突然、目を輝かせそう宣言した密鬼。劉鬼には此の流れで、何がどうしてそうなるのか不可解だ。思わず己も身を起こしながら。
「私の両親と、仲良く……なりたいか……?」
戸惑いの中密鬼へ確認をする劉鬼へ、密鬼は強く頷く。
「はいっ。一先ず、御義母様なら俺と話をして貰えるかも知れませんし……旦那様なら、御義母様とのお話を許して下さいますか?」
直球な、其れで居て劉鬼には斜め上からのおねだりが来た。よもや、閨の睦事で斯様な事をねだられ様とは、心が追い付かないが。
「あ……では、伝えて置こう……」
「良かった。では、御願いします――」
勢いに負け、訳が分からぬままに聞き入れてしまう劉鬼。へ、密鬼も満面の笑みで。まだまだ密鬼の思考は読めぬ様だと、己の未熟さに自嘲する劉鬼の姿があったと云う。
そんな話があった数日後。何時もの出勤時、車の中で劉鬼が、思い出した様に口を開く。
「――密鬼。母上への言伝ての件だが、本日の何時でも構わないとの事だ」
傍らへ腰を下ろす密鬼が、劉鬼の顔を見上げ笑みを浮かべる。
「有り難う御座います、旦那様」
そんな弟夫夫の不可解なやり取りへ、李鬼が目を丸くさせた。
「何だ?母上へ何か用でもあるのか?」
密鬼は、李鬼へ頭を下げる様に頷いて。
「はい。俺、御義母様と御話ししたくて」
密鬼のそんな返答へ、李鬼の表情には純粋な驚きが見えた。
「話……母と……?」
「俺、鬼沙羅魏家の事まだよく分かっていませんし……御義母様の事も教えて頂きたくて。勿論、御義父様の事も知りたいです」
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