やんごとなき事情故。

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 密鬼の言葉を遮り、逃げ場を塞がんと早々に答えを投げ付けて来た劉鬼。其れはもう、淡々とした雰囲気で。密鬼は、息を飲み次の言葉をと焦る。しかし。 「個人的に、私も鬼島家を調べさせて貰った。曽て、地獄で十鬼族に並ぶ程の血筋だと」  やはり、劉鬼も密鬼の血筋を知る様だ。だが、其れを知って居るなら話は早いと。 「あっ!でも、其の……御先祖様は――」 「当時当主とされた鬼の人道進出により、一族の地位は剥奪。そして、現在に至る」  再び遮られた言葉。此方の意見を聞くのは無駄と思って居るのか、どうも印象良く無い密鬼だが表情には出さず。 「そう!そうなんです!なので、鬼沙羅魏様が俺と結婚するのは相応しくありませんっ。血や力の交わりも、長く同程度鬼族との間で繋いで来て居ます。鬼沙羅魏様へお仕えする力なんて――」 「君が決める事じゃない。此方が決める事だ。全て承知の上で頼む、私と結婚して欲しい」  全く以て何だろうか、先程から密鬼の意見を聞こうとしない態度の劉鬼。苛立ちともどかしさから、遂に密鬼は椅子よりも立ち上がる。次こそ躱されるものかと、腹へ力を込めて。 「きっ、鬼沙羅魏様は、全然知らない僕と結婚って、良いんですかっ?結婚してしまうと、僕が一番の伴侶なんですよっ!?目茶苦茶愛する鬼に巡り会えても、一番に出来ないんですよ!」  強く情に訴え掛ける密鬼だが。 「伴侶とは、家に繁栄をもたらす者こそが相応しい位置だ。色や愛とは別と考える。気遣いは有り難いが、問題無い。其の場合は余所で囲うし、勿論君の位置を脅かす真似はさせん。私も、君へは当然敬意を払う」  通じない。眉一つ動かす事無く、冷静に返す劉鬼。だが、其の言葉に見える劉鬼の結婚観。何一つ、密鬼とは噛み合わないと。追い込まれ行く密鬼は、悔しさと腹立たしさに拳を握り締めて。
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