地獄の沙汰は鬼次第。

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 混乱が酷く、そんな戸惑いの声が上がる中で。 「何でも良い!此の内に、早く薬を御子様方へ!」  鬼里山の判断は即であった。何が起こったのかは全く分からない。しかし、核が蘇ったのなら、己等には確実に出来る事があると。 「はいっ!」  助手等も我に返り、直ちに弦鬼と勇鬼の為に動き出す。依然部屋へ響く弦鬼と勇鬼の声。慌ただしくなる中で、動かぬ密鬼の手を強く握り締めた劉鬼。 「密鬼っ!聞こえるか?!弦鬼も勇鬼も息を吹き返したぞ!お前も生きねばならんだろう!頼む!……頼むから、戻ってくれっ!」  劉鬼は、必死に密鬼へ呼び掛け訴える。しかし、依然密鬼に変化は無い。劉鬼は、密鬼の核を探る勇気だけは出なかった。もし、其れで確実なものを突き付けられたなら。只、其のぬくもりの無い手を握り締め奇跡を信じて。  すると、其の手に僅かながら動きを感じたのだ。劉鬼は、期待に目を見開く。 「密鬼……!?」  劉鬼が名を呼んだ直後、密鬼の身を強く凄まじい業火が包む。弦鬼と勇鬼の処置を終えた鬼里山と助手も、其の物凄い力の圧に再び声を忘れ驚いて。呆然とするは、響鬼、諭鬼、由津鬼も又。密鬼から、まるで垂れ流すかの如く溢れる力を肌で感じながら、響鬼が口を開く。 「何と、凄まじい……此れは、李鬼と劉鬼にも匹敵する。いや、僅かに上回るやも知れん。現在の十鬼族筆頭を全て見ても、其れ等を上回る事は確実だ」  そう言う響鬼の隣で、諭鬼も驚きの中。 「此れが、鬼島の血統……」  密鬼の中へ引き継がれた、鬼島家の血へ息を飲んだ。本来の力が、今覚醒を遂げたのだ。密鬼を包む激しくも強い業火は、軈て密鬼自身を優しく守り包む様に落ち着いて行き。そして、劉鬼は気が付く。己の手を、強く握り返す感覚。ぬくもり。 「旦那様……弦鬼と、勇鬼は……?」
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