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悪魔の誕生
「私はいま、事件の現場に来ています。」
世間は事故とされているが
私だけはこれを殺人と知っていた
そうあの悪魔が誕生した場所
そしてその正体を私だけは知っている……
東中学校
そこでのいじめが彼を悪魔と変えた。
僕は東中学校に通う
中学二年生の前田健太
僕はこの学校でいじめを受けていた。
汚い、気持ち悪いなど暴言を吐かれ
物も隠されては壊されてなど
ありとあらゆるいじめを受けていた。
教員もいじめに参加をして
そのクラスでの
ストレスの吐口となっていたのだ。
どうして反撃をしないのかと思うやつも
いると思う。
違うんだ!!
僕はいじめを受けて
いじめられる役をする人なんだと
それが運命なんだと
感じていた。
もしかしたら僕自身も
もう壊れているのかもしれない
けどきっとこの人たちもこうしないと
いじめられる。
周りに合わせないといけない環境が悪いのだと
あまりにも理不尽な答えを出して
自分自身に言い聞かせていた。
僕はピエロなんだと……
放課後
いつものようにいじめを受けていた。
クラスの男子4人からサンドバッグにされ
お腹を何度も何度も殴られていた。
殴られる度に僕は吐き出して
それを笑われていた。
そしていじめはエスカレートしていく。
僕は上半身を脱がされて
机に身体をうつ伏せに押さえつけられていた。
そして1人がカッターを持ち出して
「こいつの背中に落書きしょうぜ」
と言い出した。
僕の背中にカッターの刃が突き刺さる
突き刺さるたびに僕は大きい悲鳴をあげた。
「やだ!痛い!!痛い!!」
悲鳴をあげるたびに周りは笑っていた。
誰も助けてくれない、見向きもしない
僕は存在していなかったのだ。
まるで透明人間ように……
そして僕は呟く……
「この世界に僕はいないんだ」
そう呟いた瞬間だった。
いじめていた4人は急に周りを見渡して
「おい!あいつどこ行った!
どこに隠れやがった!」
と言い出して僕を探しはじめた。
僕は何が起きたか理解ができていなかった。
なぜか知らないが4人とも
僕は目の前にいるのに
気づいていなかった。
そう……その日からだ……
この世界から僕の存在は消えた。
次の日
僕は学校に来ていた。
存在が消えた事に
実感が湧かなくて
毎日の日常を過ごしていた。
いつものように机に座るが
誰もいじめにはこなかった。
それどころかクラスのホームルームでは
僕は行方不明になっていた。
本当に存在が消えたのだと
その時に少しだけ実感をした。
だがその甲斐もあって
初めて普通に授業を受ける事ができた。
いつもなら教科書を隠されてまともに
授業を受ける事ができなかった僕にとって
この能力は本当に良かったと感じた。
だが平和な日々はすぐに終わりを告げた。
僕がいなくなって3日が過ぎた頃だ。
またクラスでいじめが起き始めていた。
次は女の子だった。
初めは物を投げて当てたりしていた。
そしてそこから標的が決まったように
どんどんエスカレートしていった。
僕はその光景を見て絶望した。
その子がいじめられていた事に対して?
いやぁ違う……
僕が必要とされなかった事に対してだった。
はじめていじめを外側から見れた。
今まで僕は自分がピエロになっていたからこそ
他の人がいじめられない
平和な世界を作れていたと考えていた。
だが違った。
こいつらは誰でも良かったのだ……
誰かががいじめられれば
誰かがピエロになれば
ずっと自分の保身だけ守れれば……
そう感じた時には僕にとって
こいつらはゴミ以下の存在に思えた。
そしてその瞬間、僕はクラスの
一人をカッターで切りつけていた。
クラスは悲鳴を上げる。
その中で奴らを切り裂いた。
何度も何度も切っていった。
血が飛び散る。
周りはパニックで教室を出ようとする。
だが僕は一人も残さないように
扉に手をかけたそいつの指を切った。
逃げれない。
誰かわからない。
不安と恐怖が渦巻いていた。
その状況を僕はなぜか笑っていた。
だって滑稽だと思わないか?w
自分は安全だと思っていた場所が
急に壊されて狩られる存在になる。
刺した後に苦しそうな声で
「ごめんなさい!!ごめんなさい!!」
泣きじゃくって謝る姿!
最高だった……
興奮で止める事ができなかった。
「いじめって楽しいwww」
僕は狩る側になっていた。
当たりは血の海になり
アンモニア臭と鉄の匂いで充満していた。
僕は息の根があるやつは少しずつ
切り刻み、悲鳴を上げさせて楽しんでいた。
いじめられていた少女は
その場で立ち尽くして震えていた。
そして僕はその子に対して喋りかけた。
「ねぇ!どうだった?ゴミ共が死んで
楽しかったでしょ?こいつとか見てよ
白目むいて死んでるよww」
笑顔の僕と対照的に少女は
震えた声で僕に答えた。
「どこにいるの?何で私だけ生きてるの?
何でみんな殺しちゃったの、ねぇどうして?」
少女の問いに対して僕は答えた。
「こいつらは僕と一緒でこの世界に存在してはいけない奴らなんだよ……だから殺した!
これは正義のためなんだ!こんなゴミどもがいるから世界は汚くなる。
ゴミはちゃんとこの世界から消さなきゃいけないんだよ」
少女は僕の答えを聞いた途端に
否定する様に首を横に振り答えた。
「いじめていたから悪い人達だけど
でも殺したらダメだよ!
ねぇ?何で殺しちゃったの?
生きていいとか死んでいいとかなんで
決めるの?……ダメだよ」
それを聞いた僕は少し笑う。
そして僕は少女に答えた。
「ゴミに生きるとか死ぬとかないよ
害虫だから殺すんだ。普通に蚊がいたら
潰すだろ?それと一緒さ。
僕はね、今日なんでこの力をもらえたのか
やっとわかったんだ。
害虫どもを駆除して世界を綺麗にするために
この力をもらったんだ。
君は優しい。だからこの世界に君は必要さ」
少女は大きい声で叫ぶ
「ねぇ!前田君だよね?
どこにいるの?!それは違うよ!
そんなの間違ってるよ!ダメだよ!
君も優しい人間なんだよ!
違う……違う……
こんな事、間違っているよ……」
そう少女は叫ぶ中
僕は彼女の耳元でこう呟いた。
「お前だって見て見ぬふりしていただろ?」
この会話は彼と私との最後の会話だった。
あれから彼はたくさんの学校で事件を起こし
そのどれもこれもいじめられた子は
残して他を残虐に殺していた。
まるで神様かのように命の選別をしていた。
そして今、彼はどこにいるか
誰にもわからない。
「そう……僕は誰にもわからないのさ!
誰もこの痛みを理解できない。
その資格は僕だけしか持っていない。
さあ、選別の時間だ!」
そういいながら悪魔は
国家議事堂の前にいた。
世界は綺麗じゃなきゃいけない
僕だけが存在しないものになるために
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