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「お待たせしました。」
澪緖さんの声。
「さあ、どうぞ。」
「頂きます。」
すると、莉子も戻ってきた。
「はあ、やっと寝たぁ。頂きます。」
他愛ない話をしながら、しばし3人で食べる。
斉木さんの手料理は、食べ慣れているので、食べやすく、どれも旨い。
そして、栄養バランスもいい。
授乳中のママに、合わせた献立にもなっていた。
パクパクと食べ進め、あっという間に、2人とも食べ終わった。2人の食欲に目を見張る。
ほうじ茶を飲みながら、澪緖さんが言う。
「一度、姉と一緒にピアノを弾いてくれませんか。」
「……。」
「理人、よく連弾してたじゃない?あの曲が、いいと思うんだけど……。」
「……。」
「確か……。サン・サーンスの曲。」
「アクアリウム……。」
「そう。それっ。」
「姉が、時々、弾いているんです……。でも、一人だと変だと……。もともと連弾で、弾いていたからなんですね?莉子さんに、教えて頂いて納得しました。だから、是非、お願いします。」
「ただ、いきなり連弾は……。」
「大丈夫だと思います……。“連弾”というボンヤリした感覚があるみたいでした。それから、男の人と弾いたのかな?って呟いていました。ただ、顔や体型は、シルエットのようにしか、分からないようです。理人さんと会うことで、感覚が甦るのではないかと……。それでも……、混乱するかもしれませんが……。」
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