2人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
直緒さんと
日々の業務と自宅の往復。
そんな日々が、2ヶ月過ぎた頃、中村屋の跡取りである直緒さんから連絡をもらった。
「飲まないか?」という一文。
久しぶりに、会員制のホテルのバーへ向かった…。
「いらっしゃいませ。お連れ様があちらでお待ちです。」落ち着いた声が聞こえた。
「桂樹、まだ、バイトしてたのか?」
「……。“まだ?”と申しますと?」
澄ました笑顔で切り替えされてしまった……。
案内された席に向かう。
「理人……。何だか、色、白くないか?後、痩せたか?」俺を見てすぐにそう話した直緒さん。
病気の心配をしているのだろう。
「今年から、柔道部顧問なんです。だから、日焼けもなくて。それから、稽古をつけてるので、少し引き締まったかもしれないですね。」
「前は、テニスだったよな?外に出ることが減ったのか……。」
他愛のない話をし、ウイスキーを口に運ぶ。
直緒さんの様子を探る。
何か話があるのだろう……。
「理人、志緒に会ってみるか?」
何の前触れもなく、突然、聞いてきた直緒さん。
俺は、返事も出来ず、無言になる。
最初のコメントを投稿しよう!