回想 かいそう

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 だけども、信じたい気持ちもあった。だからもう一回やってみた。 今度は吹き抜ける風をイメージして。  ……また吹いた。 それからは何度やっても結果は同じ……。 自分はどうにかしてしまったのか……? いや、これは本当に偶然なんだ。なんて考えてみるが、いつやってもちゃんと風は吹く。  十一歳の脳の中で矛盾が起こった。  これは超能力だという事にすればいいのか。 いや、信じてはいたが自分がそんな力を持っているなんてありえない。 そもそも壮大な偶然なんじゃないのか? まてよ、それなら俺はどれほど偶然という現象を起こしやすいのだろうか?    だんだん思考が狂ってきていた。 本題からそれるように考えが働く。 あのままでは、まともな答えが浮かぶ前に脳みそが再起不能になっちまうところだった。 だから、一旦落ち着いてこう結論を出した。 「これは超能力で、自分は超能力者なのだ」と。  結論を出してはみたが、この状況を消化するまでは相当時間がかかった。  その間に、生活環境のせいで変な幻覚を見ているんだとか、自分自身の頭を疑ってみたり。 あげくの果てには何者かによる壮大な陰謀か、などど思ったりもした。 が、冷静になって考えれば、俺に超能力があると勘違いさせる事によって、どのような利益が生まれるというのだろうか。 思いついた人はぜひ教えて戴きたい。 俺の勘違いで世界が救われるのだと言うのなら、何も考えず黙って協力してやらないでもないが。  そんな事を考えながらも、超能力と仮定して何度か試すうちに、天気を操れたりすることも発見した。 明日の天気からなら自由に変化させられる。  しかし、それと同時にこの不思議な現象にも慣れてきてしまっていた。 徐々に徐々に俺の生活に浸透し、だが誰にも悟られることなく、確実に能力を行使していった。  そして、やがて当たり前に利用するようになっていったのだ。       続く………
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