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「明日はくもりぐらいがいいか……」
ボソッと空に呟く。
今日はかなり暑い。
あの発見からあっという間に四年が経ち、今では超能力も密かながら完全、完璧に俺の生活の一部となっている。
そして成長もした。
少し集中すれば石などを中心に気流の渦を作り出せるし、自分を取り巻くように軽く渦を作る事もできるようになった。
しかし結局そこまで、風の弾丸だの天変地異だのという考えは進級するときに前の教室、二年の時の机に置いてきた。
だから、正直使い道に困るんだ…こんな力何に使う?
思いつくのは…悪戯くらいだ。
この力を使って新世界の神に───。
っとこれ以上はやめておこう。
とにかく、使いまくると何故か疲れるし、たいした使い道も思いつかない。
不便だ…。
「ちょっとジン?」
誰かが俺を呼んでいる。
ジンとは俺の名前で本名は竜崎 迅雨(リュウザキ ジンウ)という。
そして、今俺に話しかけてきたのは紛れもなく、間違えようもなく、この俺の隣に座る柳香だ。
「なーにぼ~っとしながらブツブツいってんの?気持ち悪いわね…、あてられてるわよ、ほら」
顎で教卓の方を指す柳香。
気持ち悪いのはお前の性格だよ。
ぜひ更正願うね。
「はぁ……?ぼ~っとするのは俺の趣味だ、俺の趣味を邪魔する奴は…って、あぁ…ちっ………」
めんどくさい数学だ…。
さっさと問題に答えて座る。
隣に目をやる、その目線の先にいた柳香は、不機嫌そうに俺を睨み付けたあと、またノートに向き直った。
柳香、お前はツンとしていて、肝心な時に注意してくれる、勉強のできる姉貴肌の格好良い、普通の俺の彼女。
───であって欲しかったとたまに、こういう時だけ、ほんの少しだけ思うよ。
なぜ俺がこんなふうに思うのか、説明しよう。
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