日常 にちじょう

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 そんなふうに俺の人生に根っから影響してくれて、コイツがいなければ、この俺は今いないなどと、俺の嫌いな運命という言葉を連想させる存在な柳香だが、実は俺の超能力のことは話していない。 少し面倒な事になりそうなんでな。訂正、絶対面倒な事になるからな。    悪いがお前にそこまで付き合ってやって、手伝うつもりはないんだ、柳香よ。 話聞いてるだけでいいだろ。  隣をチラッと見ると、柳香は今も一際熱心に勉強に取り組んでいる。 机に噛りつくとはまさにこのことであろう。 見てると馬鹿馬鹿しくなってくるが、コイツはこの頑張りがあるから完璧だというのはわかっている事だ、馬鹿馬鹿しいなどと思ってはいけない。  まぁ、俺ならわかっていてもやったりしない。 面倒な事は必要最低限のノルマをクリアすればいいのさ。 それ以上はスコア稼ぎだ。  とにかく、そうやってコイツが調べている事を聞いていても、やはり超能力(以下略)があるかどうか定かではないし、やっぱりそれが現代の常識だった……。 信憑性のないただの嘘っぱちだと思う奴だっている。  それでも俺は全てを信じたい。 単純な考えだが、自分の身近にそういうものがあれば楽しいだろうな、と思っているからだ。 柳香に賛成したい気持ちも少しある。 俺はいつでも少数派が好きなんでな。 うっ…今自分が変わってるって思っちまった…。  しかしながら、そんなものは探したからといって簡単にひょこひょこ出てきてくれたり、パッと起こったりはしない。 柳香だってわかってるはずさ、だからああやって立証しようと頑張ってるんだ、多分。 まぁ見つかりにくくて当然なんだがな。 でないと世界の仕組みが狂う。 物理法則を考えると、超能力(以下略)を疑う事もある。 疑って当然だとは思うが。 いや、ある方が実際はおかしいんだ。 わかっている、しかしそんな事は無視する。 そう、だって俺はいくら大したことの能力であったとしても超能力者なのだから。  さて、今日も何事も無く一日が終わるのか…そういや、今日はまだ始まったばかりか…ははは……。 はぁ…しょうもないな…俺。しかも、もうすぐ教師共がテストテストとうるさくなる時期だ…。 よけいにしょうもないよ…ったく。 続く………
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