明智の家

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部屋へ入ると、壁際に寄せられたローベッド、若草色の畳、全体的に焦げ茶色の家具が多く配置された和モダンな雰囲気だった。 「いい部屋だな、意外とオシャレじゃん」 俺はぐるりと見渡しながら言った。 飾り棚には小さめの観葉植物、置き時計、木彫りの馬、鬼瓦。 「へぇ〜…」 ――――鬼瓦!? 俺は危うくスルーしそうになった鬼瓦を二度見した。 何これ、飾り物!? 鬼瓦を食い付くように見ている俺に、明智は笑いながら声をかけてきた。 「もしや田中も好きか? いいよな、鬼瓦。魔除けになるし、何よりこの角といい険しい顔といい、カッコいいだろ?」 「う……うん、そうだな」 ――ま、まぁ人の趣味をとやかく言うのはいけないな。
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