12人が本棚に入れています
本棚に追加
同期はちょんまげ頭
――半年前。
俺は、現在勤めている会社の面接を受けていた。
ここ数年、募集をかけても応募人数が乏しい状態が続いていたらしく、面接は思っていたより易しいものだった気がする。
面接官3人、応募者4人。
和気あいあいとした雰囲気で面接が進められた。
ただ、どうしても腑に落ちない。違和感がある。目の錯覚、もしくはストレスによる幻覚と思われる人物がそこに混じっていた……。
俺の隣に座る人物、彼はまるで過去からタイムスリップしてきたかのような男だった。
彼の名は、明智政宗と言った。
細マッチョな体にフィットした濃紺のスーツ、何より誰もが二度見したのは、彼の髪型だ。
何で……何で、ちょんまげなんだ!
そんな彼に対して普通に他の人と同じ質問をして、満足気に終えてる面接官も何なんだ!
もっと、イジってやれよ! これが多様化か!? 個性を受け入れる社会の在り方か!?
その時の俺は彼が気になり過ぎて、自分がどんな受け答えをしたのか覚えていない。
運が良かったのか、余程人が欲しかったのか……俺も、そして明智も採用された。
そして、俺達は同期になった――。
最初のコメントを投稿しよう!