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 通用口へ繋がる廊下へ進む来栖を見送ってから、各務は高村に視線を向けた。彼は鼻唄を歌いながら電気ポットから急須にお湯を注いでいる。 「タカムラさん、残酷ですよ。何度挑戦しようと来栖さんは絶対に合格できないってわかっていますよね? それなのに焚きつけるようなことばかり言って」 「わかってますよー。だけど、来栖君は言葉で説明されて納得できるタイプじゃないでしょ。気が済むまでやらせてあげるのが一番の近道だと思いますよ」 「私はそうは思いません」 「だったらどうしろと?」 「それは……」  表情を曇らせた各務に、高村はお茶を差し出した。 「結局のところ、私たちが望もうが望むまいがこうする他ないんですよ。だったら楽しい方がいいじゃないですか」 「楽しんでいるのは、揶揄っているあなただけでしょう」 「案外そうでもないんですよ。人間ってものはね。  それに、この試験は受からせるためにあるものじゃないでしょ。彼のように、善人のくせに化けて出たいなんていう人間を落とすためにある」 「そうですよ。そういう想定で私が制定しました。善人の魂にはちゃんと成仏欲しいから」 「だったら、付き合ってあげるしかないでしょう」
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