(二)

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 拓弥がそのことを尋ねようと肺から息を喉の奥の声帯にぶつけようとしたとき、翔太が答えてくれた。 「一週間くらいかな」  一週間! 会わない期間としては十分過ぎるほど長い。ただ、前回の拓弥のテスト期間中よりは短い。そのときは十五日間、会うことができなかった。実際にはその途中で偶然にも会ってはいるが。ただ、それでもつらい日々だった。 「実はね、大学の文化祭があるんだ。僕、大学の演劇のサークルに入っていることは話したでしょ。そのサークルで舞台を上演するんだ。もう稽古が始まってるんだけど、直前だからね、本格的に集中して練習しなくっちゃいけなくて。だから加島君とこうして会うのもしばらくお預けになっちゃうんだ」 (続く)
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