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そのイメージが頭を巡ると、拓弥はそれに歯を突き立てることはできなかった。なるべく歯に当たらないようにしながら、口に入ってきているブリトーの先端部分に舌を上下左右に這わせながら、翔太が恍惚の表情を浮かべているところを想像してしまった。
「どうしたの? 食べないの? おいしいよ」
表通りが見えるガラス窓の所に設置されたカウンター席の翔太は笑顔で隣の拓弥の顔をのぞき込んできた。
その瞳は悪戯っぽく笑っているが、汚れを知らなさそうな、綺麗な瞳をしていた。素直にこの状況を楽しんでいるのだろうと拓弥は思った。
(続く)
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