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そんな考えが延々と拓弥の頭の中でグルグル巡っていた。
そのような折に、翔太は「はい」といって、プラスチック製のフォークの先に刺したポテトを拓弥の目の前に差し出してきた。
拓弥は驚いて翔太の顔を見た。
「加島君、なんかさっきからぼーっとしてない?」
それはそうだ。ずっと今までのこと、翔太のことを、翔太のことだけを考えていたのだから。突然声をかけられて何を話していいのか思い付かなかった。唇を動かそうとすると、その前に体が動き出して両手で翔太を抱きしめそうな衝動に駆られるのだ。話なんかできるわけない。だから拓弥は、ずっと黙っているしかなかった。
(続く)
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