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改まって、何の話が始まるのだろうか。拓弥は息を飲んだ。
「実はね……」
そう切り出す翔太が外の景色を見つめる表情は、真剣だった。
まさか、もう会えないというのだろうか。いや、そんなことはない、ないはずだ、なぜなら翔太はさっき自分のポテトを拓弥に食べさせたではないか。気のない相手にそんなことをするはずがない。だから、別れ話など、あるわけはない。あるわけない! 拓弥はそう思い込もうとした。
「僕たち、会えなくなるんだ」
翔太のその言葉に、拓弥は頭を後ろから殴られた思いがした。言葉が出なかった。
(続く)
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