コーヒーと鼻チーク

1
全力で走った
それはそれは
自分がこんなに走れたことがかつてあったか疑うくらいに
「､､､ーーーハァッ ハァッ ハァッ､､､」

､､､､､
乗れた
「ピンポーン,ピンポーン､､､ ガチャ」
別にこの電車に乗れなくたって帰れるのに
無意識に走ってしまった。
本当はトイレに行きたかったし、
コーヒーでも買っていきたかったけど。
上手く息が吸えず
肩を上下させ膝に手をやる。
手の汗ですこしズボンが滲み、
シワになるのが気になった。
明日休みなんてことはどうでもよく
日常を何故か必死に生きている気がした。
醤油をさしていないのに
変にてかる寿司みたいに。
ちょっと顔を上げて 目線を動かす。
脈打つ体を感じ停車駅を確認する。
自分の背負っているカバンの中に先輩から貰ったお菓子が入っていることを思い出す。慌てるが行動に起こす間もなく下を向く。

「次は､､､､, ､､､､ お出口は右側です」

上手く聞こえなかった。
なんとかハンカチで汗を拭う。
子供を連れたお父さんらしき人を横目に空いている席を探す。