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3-18懐かしい嬉しい再会
”レン、どこにいる? アクアも無事か?”
俺の大きな力への接続はなかなか上手くいなかった、いつものようにこれをしていないからだった。俺は大きな世界の力に頼らず、ほとんど普通の食事で生きていた。でもドラゴン同士で連絡をとるなら、これが一番確実な手段だった。俺は広大な世界にある大きな力の中で探した、そしてドラゴンである大きな点も幾つか見つけた。でもレンの力である点を見つけられなかった、そんな時だった俺はとても懐かしくて愛おしい力を見つけた。
”われはセーメイオン、われの息子であるアルカンシエルよ”
”母上!?”
俺は母さんであるセーメイオンがかなり遠かったが、今も無事できちんと生きていることを知った。それは久しぶりの懐かしい母さんの気配だった、俺は懐かしくて嬉しくてたまらなかったが、俺が今すぐに知りたいのは親友であるレン、それにレンと一緒にいるはずのアクアのことだった。世界の大きな力に接続すると俺が相手に望めば考えや感情を共有できる、俺のこともそれで母さんには全て分かったようだった。
”アルカンシエルよ、お前が探している親友なら、そうすぐ近くにあるその消えそうな小さな光よ”
”ありがとうございます!! 母上、お話はいずれまた会った時に……”
俺は改めて仲間であるドラゴンの気配を探した、そうしたら近くに消えそうになっている小さな気配があった。俺はそれが小さすぎたからドラゴンだと気がつかなかったのだ、でも言われてみればこれは確かにレンの気配だった。レンはまだちゃんと生きている、でもどうやらレンには何か遭ったようだ。レンが生きているならアクアもきっとその傍にいるはずだった、俺はレンの居場所を覚えて大きな世界との接続を止めた。
「リッシュ、レンの居場所が分かった。朝食は飛びながら食べよう!!」
「はい、分かりました。シエル様、すぐに荷物をまとめます!!」
そうしてから俺たちはワイバーンたちの巣がある川を、今度は上流に向けて飛んでいった。レンたちは川に流されてはいなかった、どうにか上流の方へと飛んでいったのだ。俺は口に無理やり干し肉など片手で食べれる物を詰め込みながら、レンが何故か弱っていることをリッシュに伝えた。リッシュは険しい顔をしたが、俺を励ますようにこう言い続けた。
「レン様が生きていらっしゃるなら、アクア様もきっと生きています」
「ああ、あの優しいレンがアクアのことを、決して死なせるわけがない」
「シエル様、どうか落ち着いてレン様の近くまでいったら、このまま空を飛ぶのは危険かもしれません」
「そうか、そうだな。レンがどういう状態なのかが分からない、近くまで行ったら状況に合わせて考えよう」
そうして俺たちはやがてレンの近くまで辿り着いた、それは俺たちが目指していたフラワーリング国だった。その国の街の一つからレンの気配が感じられた、だからその街の近くの森までは飛んでそこから俺とリッシュは歩いてその街に入っていった。そうして俺は世界の大きな力との接続を時々しながらレンの姿を探した、俺とリッシュはそうしているうちにこの街の神殿に辿り着いた。
「すみません、ここに銀の髪に緑の瞳の男の子と、黒髪に黒い瞳の女の子はいませんか!?」
「よくいらっしゃいました、もしかして流行り病にかかられた方でしょうか」
「流行り病!?」
「雨季があけるとこの流行り病がいつも起こるのです、神殿で預かっている病人ならこちらです」
確かに雨が降り続いた後なのか地面はぬかるんでいた、俺たちは神殿に来た病人つまりは神殿にそれなりの寄付をした、そんな特別な病人たちが看病されている場所へ案内してもらった。するとそこにアクアとレンの姿があった、俺はアクアたちの生きている姿を見て涙が出そうになった。でも二人は俺が思っていたよりも危険な状態だった、神殿で使われる『大治癒』の中級魔法では治っていなかった。
あのレンがかかるくらいの強い流行り病だ、それにアクアの顔色も悪く体を震わせながら二人とも高熱を出していた。レンは流行り病の症状も酷かったが、なんと肩の下の辺りから左腕を失っていて包帯が巻いてあった、アクアはほとんど怪我をしていなかった。明らかにレンは空から落ちた時にアクアを庇ったのだ、レンは本当に仲間思いで優しく強い誇り高きドラゴンだった、俺はそんな二人に必死に話しかけた。
「アクア!! レン!!」
「……シエルなの? 本当にシエルなの? アクアまた気絶して夢を見てるの?」
「……おう、親友。ちょっと格好がつかねぇが、チビはちゃんと守ったぜ」
「アクア、回復魔法も使えないのか?」
「……凄く頭が痛くて、体が熱いの、魔力が乱れて治せないの」
「……俺様は元々だが回復魔法は得意じゃねぇ、シエル、大事なチビを病気にさせてごめん」
俺はアクアたちのことを助けなければならなかった、レンは謝ってくれたがそんな必要は無かった。このフラワーリング国に逃げようと、そう全員で決めたのだから仕方がないことだった。とりあえず俺は神殿からアクアとレンを連れ出した、回復魔法が使える神殿にいても治らなかったのなら、場所を移して俺たちで治療するしかなかった。俺がアクアを、リッシュがレンを抱えて移動した。
「レン、何も謝ることはないよ。レンはアクアをしっかり守ってくれた、今度は俺たちが二人を助けるんだ」
「ええ、アクア様、レン様。気をしっかりと持ってください、すぐに休めるところを探します」
俺たちは病人を連れていたから、宿屋から嫌がられて泊められないと言われた。それでも金さえ出せば泊めてくれる宿屋があった、ひとまずはそこに部屋を借りてアクアとレンをベッドに寝かせた。そしてアクアに俺が全力で『完全なる癒しの光』を使った、そうしたらアクアは熱も下がりやがて元気になった。
「シエル!! 会いたかったの!!」
「ああ、アクア俺もだ!!」
「………………」
「もうアクアはシエルの傍を離れないの」
「俺もだ、アクアにはずっと俺の傍にいて欲しい」
「………………」
「大好きなのシエル」
「ああ、俺も大好きだぞ。アクア」
「………………」
「シエルはアクアの家族」
「ああ、アクアは俺の大切な家族だ」
「あのシエル様、アクア様。大変申し訳ございませんが、そろそろレン様の治療をお願い致します」
俺とアクアはもう離れないようにとしっかりと抱き合った、俺はアクアがまた俺のところに戻ってきてくれて本当に嬉しかった。しばらく俺たちはそうやっていたがリッシュの言葉で我に返った、確かにレンがまだ流行り病から治っていなかった。だから今度はアクアにレンへ魔法を使って貰った、『完全なる癒しの光』の魔法でレンは良くなった、レンは川に落ちた時にアクアを庇って左腕を失っていたが、その時に負った重傷もこの魔法で綺麗に治ってしまった。
「はははっ、俺様の左腕が戻った、これで完全復活だぜ!!」
「レン、ありがとう。よくアクアを守ってくれた」
「気にすんなよ、親友」
「でも本当にありがとう、レン」
俺たちは無事に再会できてお互いに喜びあった、それからはこれからどうするか話し合った。流行り病が起こっているならこの国にいるのは危険だった、だから明日には全員で別の国に移動することにした。だが問題が起きてしまった、宿屋で一晩眠ったら、またアクアが発病した、それにリッシュも同じ病にかかった。何故だか分からないが、俺とレンは無事だった。
「すぐに治してやるからな、アクア。『完全なる癒しの光』」
「……ありがとう、シエル。リッシュの治療はアクアがするの」
「……すみません、アクア様、ありがとうごさいます」
とりあえず回復の上級魔法を使えばアクアもリッシュも元気になった、でも根本的原因が分からないとまたこの流行り病にかかる可能性があった。アクアは元気になってからずっと考えていた、アクアは十歳でこの世界にきたとは思えないくらい知能が高く、様々な異国の本を読んで暗記していた。だからアクアだけしか分からないこともあった、それに俺だけがこの流行り病にかからないのも不思議だった。
「この土地は蚊が多いですね、もう僕は何回も刺されています」
「俺は刺されることが無いな、これでもドラゴンだから皮膚が厚いんだ」
「俺様もシエルと一緒だな、蚊に刺されたりして困ったことはねぇ」
「雨季の後に多い、蚊に刺される、レンも一度はかかった、それは怪我があったから、症状は発熱と頭痛それに震えや悪寒……」
アクアは俺たちの言ったことや自分が経験したこと、それらと合わせて考えてこんでいた。それからアクアはふと思いついたようだった、念の為にと俺たちはまた宿屋に一泊したのだが、翌朝アクアとリッシュがまた発病した。昨日と同じように魔法で治したが、それでアクアは確信を持てたようだった。それで俺と皆にこう言いだした、それはアクアがにほんから持ってきた知識だった。
「これはきっとマラリアなの!!」
そう言うとアクアは地元の人間に話を聞いてまわった、すると『貧民街』の医者にもかかれない何人かの人間が、とある木にたまった『苦い水』を飲んだら病気が治ったと言いだした。アクアはその人たちを俺に頼んでお金で雇った、そうして近くの森でキナの木というものを見つけ出した。そうしたらアクアはその樹皮を剥がして、魔法で乾燥させてすり潰して粉にした。
「アクアとリッシュはこれを飲むの、怪我をしたらいけないからシエルとレンも飲むの」
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