【後日談】非魔法使い《ペルデール》の街

44/44
前へ
/308ページ
次へ
 コイツ……。また、反射魔法をかけていたのか。  正直、魔法が成功していたら、俺は自分の魔法で拘束されることに……。  それをみて笑うネージュの姿に普段の光景に、戻ってきたんだと実感すると同時に、脳裏にユーリスが浮かぶ。  アイツは本当に、ただの非魔法使い(ペルデール)だったのだろうか……。  まさか、あのときと同じで内通者がいて招かれたのか?  それとも、俺の聞いたこともない、気功術になにか――。  回復したら、兄貴に連絡してという男を調べてもらおう。  今は、この穏やかな日常を満喫したい……。 「改めて2人とも、心配かけて悪かった。有難う……それと、ただいま」  戻って来たときに言えなかった言葉を、今になっていうのは少し照れくささもあった。  ベッドに座ったまま頭を掻きながら、2人の目を見てぎこちない笑みを浮かべる。 「お帰りなさい……!」 「お帰りなさい、ルクスちゃん――」  鎖で縛られたまま涙ぐむリベルテに代わって、ネージュが胸に飛び込んできた。  当然放り投げられるトレーに乗った食事は宙を舞い、辛うじて空中に浮かせて大事にならずに済むと、俺の盛大なため息が部屋に響き渡る――。
/308ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加