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コイツ……。また、反射魔法をかけていたのか。
正直、魔法が成功していたら、俺は自分の魔法で拘束されることに……。
それをみて笑うネージュの姿に普段の光景に、戻ってきたんだと実感すると同時に、脳裏にユーリスが浮かぶ。
アイツは本当に、ただの非魔法使いだったのだろうか……。
まさか、あのときと同じで内通者がいて招かれたのか?
それとも、俺の聞いたこともない、気功術になにか――。
回復したら、兄貴に連絡してユーリス・ルシェットという男を調べてもらおう。
今は、この穏やかな日常を満喫したい……。
「改めて2人とも、心配かけて悪かった。有難う……それと、ただいま」
戻って来たときに言えなかった言葉を、今になっていうのは少し照れくささもあった。
ベッドに座ったまま頭を掻きながら、2人の目を見てぎこちない笑みを浮かべる。
「お帰りなさい……!」
「お帰りなさい、ルクスちゃん――」
鎖で縛られたまま涙ぐむリベルテに代わって、ネージュが胸に飛び込んできた。
当然放り投げられるトレーに乗った食事は宙を舞い、辛うじて空中に浮かせて大事にならずに済むと、俺の盛大なため息が部屋に響き渡る――。
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