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彼は、この学校のすべてを知ることができる魔法の地図で、他の教師との連絡を担当していた。つまり、最悪なシナリオだということは、明白である――。
「それは、まことか。魔法の地図は……」
「校長が、掛けた……生体魔法、全員消失しました……」
生体魔法は、生命管理を目的とした魔法……捜索にあたる教師全員に施した。消失したということは、全員行方不明となった生徒と同じく。
これは、何者かの陰謀か……はたまた、魔法生物? いや、この学校は【オブシディアン】という特殊な魔法鉱物によって構築され、魔法生物を寄せつけない効果を持っていた。
他の魔法学校と違って、外敵からの侵入はほぼ不可能に近い。
――外部から侵入した魔法使いを除いては。
「やむを得ない……この時刻をもって、オブシディアン魔法学校を放棄する!」
わしは、オブシディアン全域に施された緊急事態を知らせる魔法を発動した。
――ことの発端は昨夜、100人以上に及ぶ、中等部生徒がこつぜんと姿を消したことにある。
その異常事態に、いち早く気づいたのは校長である、わしだ。
なぜなら、生徒諸君にも、秘密裏に生体魔法を施していたからである。
消えた位置は、地下室がある1階……。
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