36500日前の夜(序章)

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 彼は、この学校のすべてを知ることができる魔法の地図で、他の教師との連絡を担当していた。つまり、最悪なシナリオだということは、明白である――。 「それは、まことか。魔法の地図は……」 「校長が、掛けた……生体魔法、全員消失しました……」  生体魔法は、生命管理を目的とした魔法……捜索にあたる教師全員に施した。消失したということは、全員行方不明となった生徒と同じく。  これは、何者かの陰謀か……はたまた、魔法生物? いや、この学校は【オブシディアン】という特殊な魔法鉱物によって構築され、魔法生物を寄せつけない効果を持っていた。  他の魔法学校と違って、外敵からの侵入はほぼ不可能に近い。  ――外部から侵入した魔法使いを除いては。 「やむを得ない……この時刻(とき)をもって、オブシディアン魔法学校を放棄する!」  わしは、オブシディアン全域に(ほどこ)された緊急事態を知らせる魔法を発動した。  ――ことの発端(ほったん)は昨夜、100人以上に及ぶ、中等部生徒がこつぜんと姿を消したことにある。  その異常事態に、いち早く気づいたのは校長である、わしだ。  なぜなら、生徒諸君(しょくん)にも、秘密裏に生体魔法を(ほどこ)していたからである。  消えた位置は、地下室がある1階……。
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