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すると、鳥の声で俺が目覚めたことに気がついたのか、扉を叩く音に反射的に応える。
ネージュの魔法のおかげで痛みはないが、まだ動きは鈍い。
「……ルクスさん、お目覚めになられて、本当に良かったです!」
朝食を手にしたネージュの顔が涙で溢れていた。その手は震えていて、いまにでも運んできた食事を落としそうなほどに。
「……悪い。心配かけたな……だけど、このとおり無事に帰ってきただろう?」
「……全然、無事じゃなかったです! 優しいわたくしでも、怒りますよ……」
その直後、ネージュの背後から半分ほど開いた扉を壊れるほどの音と勢いで開くリベルテが、無断で部屋に飛び込んできた。
「ルクスちゃ〜ん!! 目覚めたのね! 嬉しいわ〜! 嬉しくて、抱きしめたいわぁ~!!」
そのまま、どさくさに紛れてベッドに飛び込もうとするリベルテに、俺は片手で自分の頭を押さえる。
「……誰かのおかげで、頭が痛い」
「んもぉ……反射魔法は、攻撃以外には効果ないみたいねぇ……ざ~んねん」
左手に持った杖で拘束魔法を使うと、不穏なことをいって床に転がる声に、顔がこわばる。
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