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山の向こうの森の中、動物たちは仲良く暮らしておりました。
ある夏のこと、動物たちのあいだで、ヘンテコリンな病気が流行り始めました。
どんな風にヘンテコリンな病気かというと、友達の動物に誘われて、お月さまに遊びに行くと、帰ってきたときには、お顔がヘンテコリンになっているのです。
そのお顔の恐いこと!
まず目玉がギョロリン、お鼻は腫れたみたいに大きくふくらんで、お口は真っ赤っ赤。しかも耳まで裂けていて牙もニョキニョキ生えているんです。頭に角が生えていることもあります。
恐いですよ~!まるで地獄からやってきたオバケみたい!
それはそれは恐ろしいお顔で、池に映った自分のお顔をみると恐ろしくて震え上がってしまうほどです。
でもね、いつまでもそのお顔のまんまというわけではないのです。
それを見た誰かが「ギャーーーッ!」って驚いてくれると元のお顔にもどるのです。
まったくヘンテコリンな不思議な病気ですね!
でもね、でもね、いつものお顔にもどっていられるのは1時間だけ。
1時間が過ぎると、また恐ろしいお顔になってしまいます。
そしてまた誰かを驚かせなくてはなりません。
まったくヘンテコリンな病気が流行りだしたものです。
そのヘンテコリンな病気が、すっかり治る方法はひとつだけ。
それは…
誰かほかの動物をさそって、お月さまに連れて行くのです。
そうすると、誘われた動物が病気になってしまい、さそった動物は病気がすっかり治るのです。
やれやれ、困った病気ですね!
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