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余談だが、その男というのは犬みたいな女性が好きなだけではなく、実際に犬を飼っていたという話だ。犬種はグレート・ピレニーズという超大型犬で、オスとメス、両方飼っていたらしい。二匹とも去勢済みなようで増えることはなかったが……。それを、男の家にある犬用の部屋で飼っていたらしい。余談はここで終わりだ。
それで、女とその男とはどれほどの関係だったのかと言うと、これはもう結婚にまで発展していたという話だ。
男は自分の発言をキッカケに犬になりきる女の熱意に打たれたのか、それとも別の要因があったのかは分からないが、なんせ結婚したということだ。
ここまで話せば単純に女の恋が叶った話だが、そう一筋縄ではいかないという。
噂によると、その男は女にマインドコントロール……早い話、洗脳を施して、女を自分好みに調教していたらしい。犬小屋に住んだり首輪を付けたりといった女の奇行も、その洗脳に嵌った故ではないかと予測した者もいた。
何故洗脳までしていると噂されたのかというと、女の体には生傷が絶えなかったからだ。
女が男に折檻……肉体的苦痛を与えられていたことは、彼女の腕や首などの見えるところに、日に日に更新されては消えていく傷があることから噂になった。それに、犬小屋に住んだり首輪を付けたりも、よく考えれば「お前は犬だ」という洗脳でもされていない限り、普通はしないではないか。肉体的苦痛を与えても言うことを聞く従順さも、やはり犬だと洗脳されたと考えたほうが合理的だ。
え? 怖いだって? 大丈夫……大丈夫……怖いようなエピソードはここらへんがピークだ……。まだ大丈夫だろう……続けるぞ……。
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