ランドール・ウィリアム・ローズ

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ランドール・ウィリアム・ローズ

海岸に車を駐め、ぼんやり海を眺めていた。 今にも降って来そうな曇り空で、波の色も濁っている。 こんな日は人出も少ない…… シートを少し倒し、缶コーヒーを飲みながらFMラジオを聴いていると、防波堤の遊歩道を歩く若いカップルが見えた。 付き合い始めて日が浅いのか、並んで歩いてはいるが、その距離は少し遠慮がちだ。 風に乱れるセミロングの髪を片手で押さえながら、彼の話に大きく笑顔でうなずく横顔が初々しい。 晴れていれば、夕日が綺麗なのだが…… そんなことを考えているうちに、車の前を通り過ぎた。 のワンピース レースをあしらった、ノースリーブの肩から伸びるしなやかな腕。 『手を繋いであげなよ』 ラジオから流れる真夏の讃歌が、何処か寂しげにエールを贈った。 後ろ姿を暫く眺めていると、ふと、あるギタープレーヤーの顔が頭をよぎった。 ……ランドール・ウィリアム・ローズ…… 伝説のギターヒーロー。 ツアー途中、悲運の飛行機事故により、その才能を完全燃焼させること無く、25才という若さで逝ってしまった、ランディ・ローズの美しく、憂いのある横顔が。 テクニカルでクラシカルな彼のギタープレーは、オジー・オズボーン加入後開花し、瞬く間にギターヒーローとなる。 彼のギタープレーに初めて出会ったのは高校生の時。 バンド仲間の薦めで、アルバム「ブリザード・オブ・オズ」のミスター・クロウリー(死の番人)。 聴き終わると鳥肌がたっていた。 CDを一晩借りて朝まで何度も聴いた。 返却時、すでに故人であることを知らされ、ショックを受けた。 その日は一日中、彼のギターフレーズが、頭のなかを駆け巡っていた。 彼の愛器はPolka Dot V のフライングV ライヴCD 「トリビュート〜ランディローズに捧ぐ」 久しぶりに聴いてみよう。
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