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②スロヴァキアに行きたい
コンピューターで作った音楽なんて大嫌いだった。
6年ぐらい前の自分は、ブルースにかぶれジャズをちょっとだけ聴き、人間の肉体の発する音だけが聴くに値する音楽だと思っていたのでした。
でもある日のこと。
自分は、長男の送迎で来た音楽教室の壁の張り紙を見ていたのでした。
ピアノ、ギター、ベース、管楽器各種、ハーモニカまで、いろいろある。
でも、その中で一つだけわからないものが。
DTMってなんだ?
早速スマホで調べる。
DTM。デスクトップミュージックの略かあ。
ああ。機械で作るピコピコしたやつ。
ああ、俺、これ嫌い。バツ。
でも、その瞬時の拒絶、否定が逆に、自分に負荷を与えた。
こんなに簡単に見切っていいものかと。
子供に常々、見た目はちょっとな食べ物でも印象で決めつけず、一度は口をつけてみろと口酸っぱく言っているのは自分自身だから。
DTMかあ。
とその時、あることにはっと気づいたのでした。
これって、つまり自分一人で、自分の裁量で、バンドが作れるってこと?
俺がギターをやり、俺がベースをやり、俺がドラムをやるってことだ。
夢にまで見た俺のバンド。
その次に頭に浮かんだのが、20代の頃に作ってそのまま放って置かれている歌詞ノート。歌詞の上にコードが振ってある。
かつてギターを弾きながら歌ったことはあるが、音源はない。
人に聴かせたこともない。
音源は自分の頭にある。
バンドが演奏している音源が自分の頭の中にある。
でも、自分の頭の中にしかない。
この頭の中で鳴っていた楽曲を、つまり、ちゃんと人が聴けるものにできる機械ってこと?それがDTM?
そこに気づくと、突然下半身がむずむずしてきた。
これはすごい出会いだ。
時代が知らぬ間に追いついていた。
未来はいつの間にか自分の目の前にいたのでした。
ドラえもん!!
いや、違う。
とにかくこうしてはおれなかった。
自分は早速、DTMの教室に体験レッスンの申し込みをしたのでした。
(続く)
という訳で。
2曲目は「スロヴァキアに行きたい」です。
前奏、間奏、後奏、ちと長い。
今の流行歌の作風の逆を行ってる。
こらえてください。
コメント欄で栄亭さんから、前回の「風にゆられて」が「たま」の曲のようだとの御指摘がありましたが、御明察。自分、かつての伝説的バンド「たま」の大ファンでした。
この曲、「たま」のある曲の循環コードをそのまま用いてます。
コードだけなら盗作にはならないかと。
盗作ではなく、リスペクト。
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