地球外生命体的家族風景

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 そう言って後輩は先に店を出ていく。支払いをしながら、世界征服も楽じゃないなとラゲルは思った。  一方的な接吻行為は認められない。ならば、合意の上で行うのが必要な過程であるらしい。ラゲルは頭を悩ませた。隊長には『問題はなにもありません』と虚偽の報告をしている。あの方のことだ。人間関係の苦労を話したところで理解はされないだろう。 『そんなもの、強引にすればいいじゃないか』と強気の言葉を口にするはずだ。  ある意味で、隊長がモモを母体に選んで正解だったなと心から思った。一度選んだ母体は簡単には変えられないから、バジグは飼い猫としてしばらく生活をしていかなければならない。うるさい上司を黙らせておくには丁度いい。今ごろ家で妻に頭を撫でられながらくつろいでいることだろう。
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