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狐、化ける。
ああ、何でこんなことになっちまったんだ?
村のヤツらが俺を見て大騒ぎをしてる。
「ば、化け物?! 妖怪の類か!」
「きゃああああ!」
「おい、逃げろ! 化け物が出た!」
「うち、佑禅さんを呼んでくる!」
佑禅……おっちゃんか。
何でだ?
俺は化け狐だけど妖魔じゃないし。
物の怪退治のおっちゃんは関係ないと思うぞ。
そもそも、何でバレた?
人間に完璧に化けてんだぜ?
今日は寒いからって毛の量を調整したくらいか。
うーん、わからん。
……おっちゃんは言葉が通じないしマジメだから、面倒くさい時もあるんだよな。佑陽、助けに来ないかな。
くっそ!
薬と、兎の肉と毛皮を交換しに来ただけだってのにツイてねえ……!
困ったな。
……あれ?
あの黒っぽい格好したヤツ、もしかして……。
「どうなさいました? む、あれは……物の怪、のようですね。でしたら私どもの領分。ここは引き受けます。式神に父を呼びに行かせますので皆さまは安全な場所へと」
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