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「あー!腹立つ!!また、ねーちゃんに口ゲンカで負けた!悔しいわぁー!負けてばっかりや…うーっ…ストレス溜まるわぁ…何かで発散させたい…ねーちゃんの何かで発散させたい…うーーっ」 自分の部屋の中をウロウロしながら暫し考える。 部屋の中をウロウロ…部屋の中をウロウロ…。 「あーーっ!いいこと思いついたーーー!」 思わず叫んで、それでも抑えきれずにやっと笑ってしまう。 「フフッ…ねーちゃんが大事にしてるシロクマのぬいぐるみを使って、いいこと思いつ~~いた!」 🐻‍❄️ 🐻‍❄️ 🐻‍❄️ 🐻‍❄️ 🐻‍❄️  「ぎぁぁぁーーーーー!!だっ、大事なシロクマのぬいぐるみがーっ、パッ、パンダになってるーーーっ!ぎゃーーーーー!」 と、自分の部屋で大絶叫するねーちゃん。ねーちゃんの隣の部屋いる僕は思わず「ヤッターーー!」っと大声を出しそうになったけど、思いとどまってガッツポーズをする。溜まりに溜まっていたストレスが、スーッと何処かに消えていくのがわかる。 じゅうたんを敷いている床で喜びの舞を踊っていると、どすんどすん…と床が抜けそうな音と床の震えが、部屋の外からしきて…そして、僕の部屋の前で止まる。 『しゅーっ、しゅーっ…』という呼吸音が聞こえるような、冷気が部屋の外から溢れているような…そんな雰囲気がひしひしと伝わってきて、僕はかちんこちんに固まる。 ーーーコン、コン、コン… ドアから控えめなゆっくりとしたノック音が聞こえる。 「は、は、はい…」 からからになっている喉から声を絞り出す。 「私、部屋入っていい?」 「い、いいよ?は、入って…」 ーーーカチャッ。 スーッとドアが開いて、ねーちゃんが顔に笑顔を張り付けて入ってきた。片手には、例のシロクマを抱えて。 「なぁ?私の大事なシロクマ、パンダになってはんねんけど、知らへん?」 そう言って、僕の目の前にぬいぐるみをちらつかせる。 「あっ…ほ、ほん…うぇっ…パッ、パンダになってはんなぁ…」 「そうやねん。なんでか知らへん?」 能面の様な表情のねーちゃんが怖い…。 「う、うーん…き、気分転換で、パパパンダになりたくって、へ、変身しはったんかなぁ」 「気分転換でパンダ?」 「う、うん。そう…」 「ふーーーん…」 ぎろっと鋭い視線を寄越すねーちゃん…堪えられへん…。 「ね、ねーちゃん、ほらっ、パンダさんからシロクマさんに戻られへんかったら困るし、水性ペンでお化粧しはったんちゃうかなぁ…」 へらっと笑って、元にちゃんと戻る事をちらつかせる。 「ふーーーん…水性ペンで化粧ねぇ…」 開いてるのか開いてないのかわからないくらい細い目をして僕を見るねーちゃん…こわっ! 🐼 🐼 🐼 🐼 🐼  あの恐ろしい体験をした翌日。 目覚まし時計のアラームがなって、ぼーっとしながらアラームを止めて、ベッドからのろのろと起き出す。    ぼーっとしながら、顔を洗いに洗面所へ行く。洗面所に着くといつも通りの動作をする。蛇口を捻って、バシャバシャと冷たい水で顔を洗い、タオルで顔を拭き、寝癖を直すのに鏡を見る。 「……」 もう一度蛇口を捻って、バシャバシャと冷たい水で顔を洗い、タオルで顔を拭き、寝癖を直すのに鏡を見る。 「……僕、パンダになってる…」 鏡に写っている僕の両目の回りは黒かった。 ちなみに薄目を開けて鏡を見ると、両目まぶたの上も黒かった…。
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