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リントは、スズとどんなふうに過ごしていたんだろう。
スズが誰よりも幸せを願い、生き返らせてほしいと思うほど特別な感情を寄せていたのがリントだ。
きっとリントも同じようにスズを大切にしていたはず。
「俺、スズのこと、もう離さないよ」
「あははっ。なにそれ、リント面白い」
あれ、こういう関係なんだと思ったんだけど、違ったみたいだ。
でもスズが楽しそうだからなんだっていいや。
ふたりで石段に腰かけて話をする。
所々噛み合わなくても、スズがずっと笑ってくれたから幸せだった。
朝日がキラキラしていて、 オイラたちの出会いを祝福しているみたい。
「じゃあ僕はそろそろ学校に行くね」
「うん、行ってらっしゃい。俺はいつでもここでスズを待ってるよ」
手を振った後も、石段を数段下りてまたこちらに振り返り、手を振る。
そんなスズが愛しくて、どうしてもリントらしくない顔になってしまう。
姿が見えなくなるまで見送り、気が抜けると同時にオイラは狐に戻った。
狐になって、狐像の周りをちょこまかと走る。
どうにも落ち着ちついていられない。
優しかったし、可愛かった。
肉球がないのに、手のひらは食べちゃいたいくらいモチモチしていて、どうしようかと思った。
早く会いたい。
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