エピローグ

1/1
前へ
/5ページ
次へ

エピローグ

とある夜、紅はLINEを見て落ち込んでいた。文章を読んだ後、すぐに返信したけれど、まだ既読はつかなかった。金の切れ目が縁の切れ目なのだろうか。紅はもう無理かもしれないと思い始めていた。 紅は会員制の高級ラウンジで働いている。店に出勤して暗いムードを漂わせていると、菜々美(ななみ)が話しかけてきた。 「どうしたの、紅ちゃん。元気なさそうね」 「菜々美ちゃん、大変。太客だった部長さんがリストラされちゃって、もうお店に来られないみたい」 「えっ、もしかして部長って、この前のロマネ部長のこと!?」 「そうなの。ロマネ部長が来なくなったら売上が…。困ったわ」 「それは残念。ロマ太郎(ろまたろう)は一流商社の人事部長だっけ? かなりの稼ぎよね。羽振りが良かったもの」 「でもね、私が初めて出会った頃、ロマ(ろまきち)は係長だったのよ。それがどんどん昇進して行ったわ。これからも期待していたのになぁ〜」 「ロマ(ろまや)にもそんな時代があったのね。まあ、誰か別の人を開拓すれば良いんじゃない? 去る者は追わずと言うわ」 「そうね。ロマ(ろまお)のことは忘れて頑張る」 「その(いき)よ」 「そうそう。最近、ロマ右衛門(ろまえもん)と似た犬に会ったの。私も犬を飼おうかしら?」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加