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エピローグ
とある夜、紅はLINEを見て落ち込んでいた。文章を読んだ後、すぐに返信したけれど、まだ既読はつかなかった。金の切れ目が縁の切れ目なのだろうか。紅はもう無理かもしれないと思い始めていた。
紅は会員制の高級ラウンジで働いている。店に出勤して暗いムードを漂わせていると、菜々美が話しかけてきた。
「どうしたの、紅ちゃん。元気なさそうね」
「菜々美ちゃん、大変。太客だった部長さんがリストラされちゃって、もうお店に来られないみたい」
「えっ、もしかして部長って、この前のロマネ部長のこと!?」
「そうなの。ロマネ部長が来なくなったら売上が…。困ったわ」
「それは残念。ロマ太郎は一流商社の人事部長だっけ? かなりの稼ぎよね。羽振りが良かったもの」
「でもね、私が初めて出会った頃、ロマ吉は係長だったのよ。それがどんどん昇進して行ったわ。これからも期待していたのになぁ〜」
「ロマ哉にもそんな時代があったのね。まあ、誰か別の人を開拓すれば良いんじゃない? 去る者は追わずと言うわ」
「そうね。ロマ男のことは忘れて頑張る」
「その粋よ」
「そうそう。最近、ロマ右衛門と似た犬に会ったの。私も犬を飼おうかしら?」
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