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僕がゾンビと化したのは5年前。発端は、某国の研究所から人間をゾンビ化させるZウイルスが流出したことだ。1ヶ月も経たないうちにZウイルスは国外まで広がり、世界各地でねずみ算式にゾンビが増えていった。
呻きながら街をさまようゾンビ、乗り捨てられた車で埋まる大通り、四方八方で絶えず上がる悲鳴と銃声。
映画やゲームで見飽きた展開が現実のものとなった。
人類の滅亡すらよぎる未曾有のパンデミックだったが、発生から僅か半年で収束した。
Zウイルスの活動を沈静化させるワクチンが開発、量産されたのだ。注射器でそのワクチンを打てば、ゾンビと化した人間が瞬く間に理性を取り戻すことができた。
僕もそのうちの1人だ。
後遺症は残った。ワクチンはZウイルスを根絶やしにはしない。身体機能は落ちたままだ。僕は覚束ない足取りを正す、つまり普通に歩けるようになるまで2年ものリハビリを要した。
未だにキズが治りにくかったり、血色が悪かったりもする。
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