分かっているだけで、五人

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次の日、私は今日も校庭の桜が散っていくのを名残惜しみながら、その景色を目に焼き付けている。 「ねえねえ、あなた。髪すっごく綺麗ねっ」 振り向くと茶髪のショートが良く似合う、明るく活発そうな女子が私を見下ろしていた。 「あたし、髪伸ばしたことないから、長くて綺麗な黒髪って憧れるんだーっ」 私はこういう一軍女子って呼ばれる人たちと仲良くしたことなかったから気後れしてしまった。 「わ、私は明るい髪色って憧れるよ?」 上手く返せただろうか。場違いな事言ってたら、変な子って思われてしまう。 そうなったらクラスで浮いてしまって、誰からも話しかけられない、可哀想な子になってしまう。 せっかくの高校生活なんだし、楽しく過ごしたい。
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