分かっているだけで、五人

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「ねえ、結奈ちゃん。ちょっとお願いがあるんだけど……」 両手を合わせて申し訳なさそうに上目遣いではにかんでいる茉優。 「え、なに?」 何を頼まれるんだろう、と私は内心の不安を隠しつつ続きを促す。 「あのね、結奈ちゃんの髪触ってもいい?」 小首を傾げて茉優が聞いてくる。 「え、いいよ」 なんだ、そんなことか。 もっと難しい事頼まれるのかと思ってた。 長くて綺麗な黒髪って言ってくれていたし、全然大丈夫。 すると茉優は私の髪を手で掬いあげてサラサラと落として、その流れをジッと見ている。 「昨日入学式で初めて見た時から気になって仕方なかったんだよねっ」
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