分かっているだけで、五人

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「結奈ちゃん、今度はメイクしてみよっ」 昼休み、一緒にお弁当を食べていると向かいに座る茉優が瞳を輝かせている。 「学校でメイクって校則違反じゃないの?」 「なーに言ってんの。みんな普通にやってるよ。ナチュラルにやれば大丈夫だからっ」 そして続けて、 「素材が良いから絶対映えると思うんだよね」 あたしもやってるし、と鼻を高くしている。 お弁当を食べ終わり机の上を片付けると、茉優は自分のポーチの中身を机の上に並べていく。 メイク道具って言っても、色んな種類があるんだね。 あっという間に机の上はメイク道具でいっぱいになった。 「じゃあ、ジッとしててねっ」 いつもは笑顔を絶やさない茉優が真剣な顔でこちらを見ているから、目を合わせているのも恥ずかしいし、私は目を瞑って待った。
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