分かっているだけで、五人

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「これはね、化粧下地だよっ」 ファンデの乗りが良くなるんだよ、と私の顔に何か塗るたび、説明をしてくれるから安心して任せられる。 使っている道具も茉優の私物だから怖くない。 しばらく茉優が手を動かしながら説明するという流れが続き、やがて、 「はい、出来たっ」 今回は茉優の手鏡を渡してくれる。 え? 手鏡に写る私は、確かに私なんだけど何か違う。 何か大人の色気っていうのを感じる。 「すっごく綺麗!茉優すごい上手」 うっとりとした目で手鏡を見ている私に、 「あたしさ、メイクに興味があって。将来、そういう関係の仕事してみたいなって思ってるんだっ」 「いいじゃん、茉優なら大丈夫だよ」 友達と将来の夢の話が出来るなんて、私の高校生活は茉優のおかげですごく楽しいものになっている。
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