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目が覚めたらお洒落な照明に照らされていた。 ぼんやりしてる光。 あれ?俺確か飲みすぎて...。 「大丈夫か?」 柊さんが水を渡してきた。 「すみません、全く記憶が、」 「やけ酒は一回だけにしとけよ。」 「...はい。ご迷惑かけてすみませんでした。」 「俺今から仕事だから、鍵かけて下のポストにでも入れといて。」 そう言うとそそくさと出ていった。 そう言えば彼は雑誌の編集者だったな。 家をうろうろしてるとでっかい本棚を見つけた。 座り心地のいい椅子と本。 天国じゃないか。 一冊とって読み始めたら本の世界に引きずり込まれて彼が帰ってきたことにも気付かなかった。 「おい。」 本を取り上げられてようやく現実に戻ってきた。 「本好きなのか?」 「今何時ですか?」 「もう夜の8時だよ。」 「やけに暗いなと思ったら。」 「てか、なにも食べてないんじゃないのか?」 「あ、そういえば」 お腹はもう鳴きもしない。 「適当に作るから食べたら帰れ。」 「ありがとうございます。」 彼はそう言うと炒飯を作って出してくれた。 適当と言ったが行きつけの中華屋より旨い。 ご飯を食べ終わって初めて彼の顔をちゃんと見た。 「腹減ってるのも忘れるぐらい没頭してたんだな。」 と言って優しく笑った。 その瞬間、俺は思ってしまった。 「ここにいたいです。」 そして口にしてしまった。 彼はなにも言わず皿を洗い出した。 しまった... 別れたばっかなのに軽いやつだと思われた。 まぁ、あのbarに他の男と来てる時点で軽いか。 「すみません、帰ります。ありがとうございました。」 早口でそう言って出ていこうとしたら腕を掴まれた。 「俺、昼間いないからいつでも本読みに来ていいよ。」 と鍵を渡された。 本。 もしかして本読みたいだけだと思われた? でもその勘違いは好都合だ。 「いいんですか?」 「いいよ。」 「じゃあまた来ます。」 彼の家を出てから心に誓った。 これは恋にしない。 彼のことは好きにならない。 好きにならなければ永遠に一緒にいられる。 そしてまたあの美味しい炒飯を食べられる。
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