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「わざわざ献上を連れ回さなくても、こちらから迎えを送らせたのに」
基地内に建造された灯台の螺旋階段を上りながら、先導するアルベルトが言う。
「オトに大陸人のことを少しでも知ってもらいたくてな」
「と言うのは建前で、本当は自慢の小鳥を見せびらかしたかっただけだろう?」
「まぁ、それもある」
仲の良さがうかがえる二人の背中を追いながら、長く続く石の階段を草履がおずおずと踏みしめる。狭い石造りの内部はひんやりとしていて、少し湿っぽい。
しばらく上り続けると、空と海の青に視界が弾けた。
「すごい……!」
クレセンティアで最も高い場所からは、島を囲む海の全貌が見渡せた。
灯台をぐるりと囲む物見台のさらに上には、夜の海を照らす大きな光源装置がある。回転するレンズが光源を反射させ、導灯となるのだ。
初めて見る景色、初めて見る技術。高台の風に吹かれながら、オトの金色の瞳がいっそう輝く。
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