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純潔の誓い
形の良い唇が薄く笑みを浮かべ、前髪の上から自分の額を指で二回叩く。何が起きるのかと見つめるオトの目の前で、美しい金糸が毛先から色を変えた。
「生物の姿を変容させる神獣ニアの力、その応用だ。こうでもしないと、俺は大陸で外を歩くことすらできない」
そう言って自嘲気味に笑うノアは、あっという間に漆黒の髪に変わった。夢喰の翅のようにどこまでも深い黒。驚きで瞬きを繰り返すオトに、変わらぬ美貌が微笑んだ。
「この姿を君は醜いと思うか?」
「……! そんなことないです! すごく、綺麗で……」
見惚れてしまった。ただそれだけ。醜いだなんて少しも思わない。
「だが、大陸で黒髪は昔から忌み子の証なんだ。それに俺の家系に黒髪はいなかった。嫁いできた母の家にも。母は不貞を疑われ、俺たち母子は一族から徹底的に冷遇された」
「そんな……」
ただ、黒髪で生まれたという理由だけで。悲惨な境遇にオトは言葉を失う。
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