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『――……どこだ』
「え……?」
大陸語で何かを呟いたと思ったら、男は上半身の力で勢いよく起き上がり、葉っぱだらけの頭をきょろきょろとさまよわせた。金のまつ毛に縁取られた意思の強そうな群青の瞳が、硬直するオトを突き刺す。
『蝶だよ、蝶! 俺が集めていた夢喰はどこ行った!?』
「えっと、あの……」
『クレセンティアに来たからには一度はお目にかかりたいと思って昼寝をしていたのに、まさか一匹も捕獲できないなんて! ……君か? 君が何かしたのか!?』
「ひっ……!」
美貌の人に両肩を掴まれ、乾いた喉が引き攣る。
何を言っているのかわからないが、すごく責められている気がする。男の詰問を真正面から浴びて、張り詰めた緊張の糸がぷつんと切れた。
「ご、ごめんなさい!!」
河川敷に響き渡る大きな謝罪。ここ数年で一番の声量だったと思う。
きつく瞑った目尻から堪えきれない涙が溢れたその時。耳を叩くような羽音が周囲の低木から鳴り響く。思わず二人は頭上を見上げ、目を見開いた。
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