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連絡船から降りた二人を待っていたのは、真白の水干を着た小柄な童子たちだった。カージュを率いる告鳥三羽衆の面々である。雲雀、鳥鳩、梟の精巧な面をつけた三羽が一堂に揃うのは珍しい。
セレニティの加護を授かり人間の腹から生まれてくる雛鳥と違い、告鳥は直系の眷属、つまり神獣の末席だ。たっぷりとした着物の袖からは、羽に覆われた翼が見え隠れする。
「なぜ我々が集まっているのか、わかっていますね?」
中央にいた鳥鳩の面が、節くれ立った鳥の脚を踏み出す。
「セレニティ様に無断で歌いましたね、アタラ」
「本島上空で夢喰の大群を観測しました。あなたの仕業でしょう?」
次いで左の雲雀、右の梟が前に出る。
三羽はオトに目もくれない。最初からアタラが歌ったと思い込んでいる。普段のオトを見ていれば、それも致し方ないことなのだが……。
「その力はセレニティ様の物です」
「勝手は許されません」
「来なさい、アタラ」
左から順番に粛々と告げる告鳥たち。折檻殿へ連れて行こうと言うのだ。
胸の前で合わせた手を震わせるオトを背に隠して、アタラは一歩前へ出た。
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