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(アタラ、どうして……?)
真実を隠し、オトに降りかかるべき災難を被ろうとしている。彼が言っていた「大丈夫」とは、こういうことか。オトは考えが及ばなかった愚鈍な自分を恨んだ。
いくら縋るように見つめても、しゃんと伸びた背は振り返らない。従順な態度に満足したのか、告鳥たちはそれ以上責め立てることなく、連なって回廊を歩き始める。
苦しい時にいつも手を差し伸べてくれた優しいアタラが、自分のせいで連れて行かれてしまう。
気づけば、オトは彼らを追いかけていた。
「私が……!」
先導する三羽が振り返り、鳥の面がギョロリと向く。委縮してしまいそうなほどの威圧に、胸の前で組んだ手が震えた。
最後尾のアタラが小さく首を振る。「よせ、やめろ」と語りかける瞳に気づいていたが、そんなことできるはずない。
「――私が、歌いました」
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