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献上
船着場の回廊から階段を上って真っ直ぐ続く本殿は、中庭と屋根付きの舞台を備えた広々とした造りになっている。
集められた雛鳥たちは、皆一様に困惑の表情を浮かべた。何せ鐘楼が鳴るのは決められた行事の時のみ。予定のない招集は吉兆か、それとも不穏の前触れか。
壁際に追いやられた雄鳥たちの近くでオトとサヨがその様子を見守っていると、檜舞台に雲雀の面の告鳥が姿を現した。その背後には楽徒を率いる三人も控えている。大勢の隙間から見るアタラの表情は硬い。
「クレセンティアの島主殿から一報が届きました。今日の晩、リュクスの新しい領事殿が『献上』を見繕いに、カージュへ赴くと」
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