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「ですが来るものは仕方ありません。遅かれ早かれ新しい献上を捧げるのも決まりきったことでした。ならば我々のやり方で盛大にもてなして差し上げましょう。アタラ、雛鳥の本分は何です?」
表情を強ばらせていたアタラへ、まるで自覚を促すように言葉を強要する。
「……歌い、奏で、音を捧げることです」
「その通り。今宵は領事殿の前で夢喰採りの儀と同じ演目を披露してもらいます。皆それぞれ励みなさい。領事殿のお気に召すように……」
告鳥に争う意思はない。そもそもカージュは政とは無縁の神域。一羽の雛鳥を捧げて嵐が過ぎ去れば、それでいいのだ。
冠羽のついた雲雀の面が舞台を降りる。歩いた後をたどるように、淡い黄褐色の羽根が袖からはらはらと舞い落ちた。
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