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だが無情にも、告鳥はギギギ、と木の軋む音を立てて扉を開けた。そばを走るネズミを足で払い、嫌がる手を引いて中へと押し込む。もう金縛りは解かれていたが、抵抗できないほど憔悴しきっていた。
「いやっ……! 助けてください、お願いします……!」
取り繕うことを忘れて涙ながらに嘆願するオトを、真ん丸な黒目がじっと見下ろす。
「ここにいなさい。ここなら内部の音や気配も遮断されます。だから絶対に見つからない」
「いったい何をおっしゃっているのですか……!? これは何の罰なのです!?」
「要石を雛壇に並べておくわけにはいかないのです」
「要石って……? ああっ、待って!」
力なく伸ばした手の先で、ぴしゃりと扉が閉められた。途端に全ての聴覚が奪われ、無音の世界へ放り込まれる。
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