夜、来たる

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 朝の雲雀(ヒバリ)曰く。 「夜のほどろはかく遠く」  昼の鳥鳩(カラスバト)曰く。 「日盛り焦がれて鳥は鳴き」  夜の(フクロウ)曰く。 「夜のことごと歌うたう」  ――夜明けは遠いが、真昼を求めて一晩歌い明かそう。  カンッ! と拍子木(ひょうしぎ)を叩く音が木霊(こだま)した。横並びになった三羽が大振りな袖から羽根をこぼし、両手を大きく広げる。 「「「さあさ歌え、神鳥(かんどり)の雛」」」  献上選定の幕が今、上がった。
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