小鳥を探して

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小鳥を探して

 楽徒(がくと)にはそれぞれ特徴がある。 『玲瓏(れいろう)』は歌姫たるメルヴィの声を主軸にし、彼女の歌声を極限まで引き立たせた曲目を得意とする。 『天地(あめつち)』もアタラが主旋律で率いるが、調和を重んじ、音の重なりを追求した耳馴染みの良い歌が多い。 『繚乱(りょうらん)』は目と耳で楽しむ総合芸能を目指し、特に舞踏はカージュ一の迫力を誇る。率いるのは薄水色の髪を高い位置で一つにまとめて溌溂(はつらつ)と踊る雌鳥(めんどり)、ナナセ。  それぞれの演目を余すところなく特等席で堪能した領事は、骨の奥に潜んだ青の宝石を妖艶に細めた。
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