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確信を持って問いかける領事に、そばに控えていた三羽は総じて口を閉ざす。
「俺の小鳥が見当たらない。どこへ隠した?」
ここにいない雛鳥を、ここにいる誰もが知っている。特にメルヴィはそのことにずっと苛立っていた。大事な舞台に穴を空けるなんて非常識だと。自分が楽器を壊したことは棚に上げて。
「小鳥とは、まさかあの片羽のことですか?」
話題がオトへ向く。たったそれだけのことが我慢ならず、メルヴィは立ち上がった。
「あれは歌えない出来損ないです。雛鳥の役目を果たすことができない半端者のお荷物でしかありません。お連れになっても、あの醜い見た目では慰み者にもならないでしょう」
意地の悪い取り巻きが、それに同調するようにクスッと笑う。
すると領事は貴賓席から中庭へひらりと飛び降り、不遜な歌姫の元へ向かった。白骨化した嘴に上から突き刺すように覗き込まれ、メルヴィの背筋を悪寒が駆け抜ける。
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