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寸前、爆ぜる
「なるほど。根元は色濃く、先端にかけて白い。まだら模様に見えていたのは羽の重なり具合か。美しいな……」
しっとりと熱弁するノアが羽耳に向けるのは、ズボンから取り出した手持ちの拡大鏡。折り重なる羽の質感を指先で確認しながら、隅々まで余すところなく観察していく。
「あの……」
「換羽期はあるのか? 抜け落ちた羽根を貰ってもいいだろうか。標本にしたいんだ」
換羽期は、ある。本格的な寒さが始まる直前になると、カージュは連日大掃除に追われる。特に羽毛量の多い告鳥たちは大変そうだ。いや、そんなことよりも。
(は、恥ずかしい……)
裸体を見られるのと同じくらい、いやそれ以上に。自分でも見たことがないような部分まで暴かれているようで、むず痒い。
ルーペで拡大された青い瞳は真剣そのもの。だからこそ余計に羞恥に襲われて、視界が潤んだ。
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