片羽のオト

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片羽のオト

 クレセンティアは三日月の形をした島。  月で言う欠けた部分に、鳥籠(カージュ)という離れ小島があった。セレニティの巣と呼ばれ、羽耳を持つ者たちが暮らしている。  月が天辺まで昇った頃、本島と繋ぐ連絡船で海に建つ大鳥居(おおとりい)をくぐった。  波打ち際の桟橋から寝殿造(しんでんづくり)の大きな建物へ、朱塗りの回廊が繋ぐ。  ほとんどの雛鳥たちは、船を降りてすぐ東の居住区へ向かった。巻き込まれては堪ったものではないからだ。  居住区とは反対側の練習場に、鼓膜を引き裂くような金切声が鳴り響く。
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