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窓付き封筒を手に入れた。これに住所を書けば、封筒についている小さな窓から、その家の中を覗くことができる。僕は迷わず、いつも通勤途中で見かけるあの子のマンションの住所を書いた。
どうして住所を知ってるかって? 野暮なことは聞くなよ。
僕は毎日、窓から彼女の姿を眺めた。
つらい日常も、彼女の一挙手一投足のかわいさで癒やされて、充実に繋がった。仕事も順調だ。
でも最近、彼女がこちらをチラチラ見てるような気がする。
はて? 向こうからは見ることはできないはずなんだけどな。窓の外に何かあるのかな。
「……あ、しまった」
僕は封筒を裏返した。つい癖でやらかしていた。
そのとき、玄関のチャイムが鳴った。
「すみません、警察のものですが」
律儀に、送り主の住所も書いちまっていた。
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