十三番のお客様

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 林先輩はあの日から一度も出勤することはなかった。いわゆる飛んだ(・・・)というやつだろう。マスターは怒ることもなく、やっぱり穏やかに微笑みながらもう一人バイトを雇いたいと口にした。欲しいのは私や林先輩のような見えない(・・・・)バイトではないのだろう。  あの日から、マスターが私に佐渡さんの接客を頼むことはぱったりと無くなった。佐渡さんが来ているのかすらも、もう誰にもわからなくなっていた。
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